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【神戸】ジェフリー・バワ展レポート|静かなのに、不思議と心に残る空間だった

※本ページはプロモーションが含まれています

家具なのに、なぜか建築を見てる感覚

神戸・旧居留地のVague Archivesでやってた「ジェフリー・バワ展」、行ってきたのでレポートします。

正直、行く前はそこまで期待してなかったんだけど、これがめちゃくちゃよかった。

ジェフリー・バワって知ってる?スリランカの建築家で、自然と建築を溶け合わせる”トロピカル・モダニズム”で有名な人。

今回おもしろかったのが、建築そのものじゃなくて「家具」「照明」「オブジェ」にフォーカスした展示だったこと。

椅子とか、ランプとか、小さなオブジェとか。

左:「Next Door Cafe」Chair  右:Saddle Chair

Unfolding Lamp (Special Edition in Wood)

なんか不思議で、見ながらずっと「これ、家具だよね?」って自問してた。それくらい、普通の家具展とは違う雰囲気だった。


そもそもジェフリー・バワってどんな人?

Geoffrey Bawa(ジェフリー・バワ)(1919–2003)は、スリランカを代表する建築家なんだけど、経歴がちょっと変わってて。

もともと弁護士だったのに、38歳で建築家に転身。
遅咲きというか、すごい決断だなと思う。

建築のスタイルを一言で言うと、「自然と共存するモダニズム」。

近代建築のスッキリした合理性は持ちつつ、

熱帯の風・光・植物・水をぜんぶ取り込んで、
「外と内を曖昧にする」空間をつくってきた人。

自邸の「No.11」とか「ヘリタンス・カンダラマ」が有名で、建築だけじゃなく家具や庭園まで全部ひとりでデザインしてたらしい。こだわりがすごい。

ヘリタンス・カンダラマ(Wikipedia)」

↑「No.11」(Official Website

で、今の時代に見るとバワの建築ってすごく現代的で。
強い空調で自然をシャットアウトするんじゃなくて、風を通して、光を和らげて、植物と共存する。サステナビリティとか、自然との関係を見直そうっていう今の空気感にめちゃくちゃ合ってる。


会場の雰囲気がまずよかった

Vague Archivesは、旧居留地のチャータードビル3階にあるギャラリー。

白くて無機質な現代ギャラリーじゃなくて、歴史のある建築の空気感がそのまま残ってる場所で。光の入り方とか、静かな余白のある感じが、すでに「バワっぽい」。

展示を「見る」というより、そこに「滞在する」感覚に近かった。


家具なのに、小さな建築みたいだった

いちばん印象に残ったのが、金属フレームのチェア。

連続したフレームで構成されてるんだけど、全然圧迫感がない。むしろ、風や視線をわざと「通す」ために作られてるみたいな。

普通の家具って空間に「置かれる」感じじゃない?でもこの椅子は違って、空間を遮断しないんだ。線の反復で輪郭だけ作って、光も空気もそのまま抜けていく。

「自然を遮断しない」っていうバワ建築の思想が、家具スケールでもそのまま出てた。

しかも存在感はあるのに、空間が重くならない。これがすごくおもしろくて、ずっと眺めてしまった。


照明とオブジェの「静かな熱帯感」

オブジェを照らすための照明。

円錐形のシンプルなランプと、小さな動物のオブジェ。

派手さはゼロ。でも、妙に記憶に残る。

南国デザインってリゾート感強めのイメージあるけど、バワの世界は全然逆で。静かで、抑制されてて、どこか祈りみたいな空気がある。

素材の粗さとか、陰影とか、土着っぽさとか。スリランカっていう土地の文化的な厚みをじわっと感じる展示だった。


「復刻」なのに懐古趣味にならない理由

ここ大事なんだけど、展示されてた家具の多くはインド・バンガロールの工房「Phantom Hands」による復刻作品。

図面やアーカイブをもとに当時の家具を現代に蘇らせてるんだけど、”懐かしい名作を並べてみました”感がまったくないんです。

「バワの思想を今の時代に翻訳する」って感じで、現在進行形の空気がある。

Phantom Handsはインドの伝統木工を継承する工房で、大量生産品とは違う、手仕事の質感があって。それがバワの空間思想と驚くほど合ってた。


なんで今バワがアツいのか、ちょっとわかった気がした

世界中でジェフリー・バワが再評価されてるのって、単純に「南国建築きれいだよね」じゃないと思う。

今って情報が多すぎて、効率が優先されて、空間まで消費されがちで、SNSには”映える建築”があふれてる。

でもその反動で、静けさとか、余白とか、身体で感じる空間体験とか、そういうものへの渇望が強くなってる気がする。

バワの建築には「風が抜ける」「光が揺れる」「外と中が曖昧になる」っていう、体でしか感じられないものがある。

家具展のはずなのに、「どういう空間で生きたいか」みたいなことをぼんやり考えながら帰った展示だった。

バワの空間を見ていると、少しアマンリゾートにも近い感覚を思い出した。

“豪華”というより、
静けさそのものを体験する感じ。

あと、建築でいうと安藤忠雄とも少し違う。

安藤建築が“緊張感のある静けさ”なら、バワはもっと風が抜けていて柔らかい。

だから、建築好きだけじゃなく、ホテル好きやインテリア好きにも刺さるんだと思う。


展覧会情報

「ジェフリー・バワ展 ― トロピカル・モダニズムの家具 ―」

  • 会期:2026年5月2日(土)〜5月11日(月)
  • 時間:11:30〜18:00(最終入場17:30)
  • 休廊日:5月5日(火)〜5月7日(木)
  • 会場:Vague Archives(兵庫県神戸市中央区海岸通9番2号 チャータードビル3階)

所要時間は30〜60分くらいだけど、急いで見るより時間に余裕を持っていくのがぜったいおすすめ。”空気を感じる展示”なので。

▶︎ジェフリー・バワの関連ページ
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アイテムコレクション一覧

JOURNAL Vol.1 : ジェフリー・バワ – De Saram House, 1986

JOURNAL Vol.2 : ジェフリー・バワ – Bentota Beach Hotel, 1967

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